msgblog’s diary

ゲームの攻略や感想を記事にしています。また、最近動画投稿を始め、それに関する気付きなどにも触れています。

炎上騒動から考える創作で僕らが守るべきこと

今年に入ってニコニコ界隈で著作物の扱いについて2件ほど炎上騒動がありました。2件とも立ち絵に関わるイラストについてです。そこで、事件の経緯と、創作活動をする私たちがどんなことに気を付ければいいのか、考えてみます。

1. 問題の概要
ここ数ヶ月で起こった問題は大きく2つあります。

一つ目はminiさんという動画投稿者で、自分で使用している山栗鼠さんの立ち絵に似せたイラストを別の絵師であるすきさんに作成するよう依頼しました。作成したイラストをコラボグッズに流用し、それが元の立ち絵作成者である山栗鼠さんにばれ、炎上しました。山栗鼠さんの立ち絵の利用規約では商用利用不可となっていました。

https://orepin.com/miniennjou/

もう一つはあぎりさんぽさんという動画投稿者で、自身が使用している坂本アヒルさんではなく、別の絵師さんであるみやちさんにイラストの作成を依頼しました。そのイラストはアヒルさんの絵に寄せられていて、Youtubeで商用利用されていました。これについて、問題がないのかと指摘がありました。アヒルさんの規約で認められていたのは公式の規約に準じての商用利用や改変・加工しての利用でした。あぎりさんぽさんは公式に許可を得ており、アヒルさんの規約にも抵触しないと判断していました。しかし、アヒルさんは第三者に依頼して模倣の絵を依頼することは許可していないと反論し、騒動となりました。

https://orepin.com/agirisannpoennjou/

2. 炎上案件の共通点
二つの立ち絵の利用規約や二人の立ち絵の依頼までの段取りは異なりますが、共通点もあります。

(1) 法令違反をしていない
これら2件に共通するのは特段法令違反を犯していないということです。miniさんの場合、商用利用不可の立ち絵の使用を避け、別の絵師さんに立ち絵を書いてもらうこと自体は問題ありませんでした。しかし、元の立ち絵に似せすぎたことに問題がありました。あぎりさんぽさんの場合、アヒルさんの立ち絵の規約を根拠に正当性を主張しましたが、そこに独自の解釈が入っており、問題になりました。

(2) 二次創作物の模倣であって、オリジナルの作品ではない
二人とも元々の絵師さん寄りのイラストを第三者に作成してもらったという点で、二次創作からの創作、いわゆる三次創作でした。三次創作は普通に活動していれば一次創作とも二次創作とも似通ったものになります。そこで、どの程度差別化するのかといった問題が生じました。

(3) いつもの絵師さんにイラストの作成を依頼していない
二人ともいつも使用している立ち絵は特定のイラストレーターの物でしたが、その方自体へのイラスト作成の依頼を行いませんでした。普段の二人は特定の絵師さんのイラストを使って動画を投稿していたため、この投稿者といえばこの立ち絵!というようなイメージがすでに出来上がっていました。

3. 炎上騒動からの教訓
さて、今回の騒動から何を学べるのでしょうか。

(1) 著作権について知っておく
まず、クリエイターの皆さんは著作権についてよく勉強しておくべきでしょう。イラストの著作権はこちらが参考になります。

https://kigyobengo.com/media/useful/203.html

この記事によると、大事なのは元の作品の著作物性、元の作品に対しての依拠性、そして元の作品に対しての類似性です。
①著作物性:人の手による創作性があるか
②依拠性:既存の著作物に依拠したものか(参考としたか)
③類似性:既存の著作物に似ているか

注意したいのは今回の場合、二次創作だったことです。二次創作の場合、次に書くように、注意すべことが増えます。

(2) 二次創作の著作権を理解しておく
二次創作の場合、複製権、翻案権、同一性保持権に抵触しないように活動する必要があります。イラストについていえば、特に複製権に注意ですね。
①複製権:著作物を再製する権利。トレースも再製の一種。
②翻案権:元の著作物を活かしながら別の著作物を作る権利。
③同一性保持権:自分の著作物を意に反して改変されない権利。

https://matsuyama.vbest.jp/columns/general_civil/g_civil_disputes/4330/

※参照記事中で翻訳権という言葉が使われているが、文脈に沿えば翻案権が正しいと思われる。

今回の件は三次創作ではないか、と思われる方もいるでしょうが、三次創作も法律上は二次創作の一種として扱われます。したがって、二次創作で守るべきことを守り、一次創作者、二次創作者に配慮した作品作りを心がけましょう。

(3) 関わっているクリエイターをリスペクトする
何より、今回一番大事だなと感じたのは他のクリエイターへのリスペクトだなと感じます。今回、二人の投稿者さんはいずれも普段使っている立ち絵の絵師さんとは別の方にイラストの作成を依頼していました。しかし、せっかく普段利用している立ち絵の絵師さんにお世話になっているのですから、その絵師さんに依頼すればよかったと思います。心よく引き受けてくれれた可能性もありますし、断られたら別の絵師さんに頼むことを正当化できます。別の絵師さんには全く関係性のない作風で絵を描いてもらえば、このようなトラブルも起きなかったでしょう。

私たちクリエイターは一人の力で作品を作っているわけではありません。動画投稿であれば、別のクリエイターが描いてくれた立ち絵や背景を使いますし、動画編集ソフトを提供してくれている方もいらっしゃいます。人気が出るとつい自分の実力だと思い込んでしまうものですが、そのことを忘れないようにしましょう。

下記の本によると、芸術も経営でできているとのこと。良い作品ができても、それを誰かに見てもらえなければ意味がありません。よりたくさんの人に見てもらいたかったら、ネットワークが大事です。ネットワークの基本は人間関係の構築にありますが、それをないがしろにすると……将来痛い目に遭いそうですね!

岩尾俊兵 世界は経営でできている 講談社 2024

4. まとめ
・今年に入って2件の炎上騒動があった。
・法令違反はない、オリジナル作品ではない、いつもの絵師さんに依頼していないなどの特徴があった。
・クリエイターは著作権、二次創作のルールについてよく学び、他のクリエイターをリスペクトすべきである。

いかがでしたか。最後までお読みいただきありがとうございました!