msgblog’s diary

ゲームの攻略や感想を記事にしています。また、最近動画投稿を始め、それに関する気付きなどにも触れています。

数字で見るニコニコ動画 動画再生数の低下

動画あげ太朗さんの「2022年の動画再生数が2019年の半分ほどに減った」というツイートが話題です。本当に半分に減ったのでしょうか。データの検証と共に、どうして再生数がここまで落ちているのか、推測してみましょう。

https://twitter.com/dougaagetarou/status/1566263294565855233

1. データの調査
(1) データの入手先
動画あげ太朗さんによると、データは下記からの引用とのことでした。

http://www.nicochart.jp/total/

(2) データの意味
先に上記サイトのデータの意味を確認しておきましょう。特に大事になるのは、総動画数と総再生数です。
・総動画数:これまでに投稿された動画数の累積。
・総再生数:これまでの再生数の累積。

ここでいう「これまで」とはニコニコのサービスが始まって以来の意味です。総動画数、総再生数の差を求めることで、ある期間の動画数や再生数の伸びを調べることができます。

(3) 調査方法
今回は各年の上半期(1/1から7/1まで)の総動画数、総再生数の差を計算し、半年での動画数や再生数の伸びをグラフで比較しました。動画あげ太朗さんは2022年のみ8ヶ月を12ヶ月に換算して計算したとのことでしたが、管理人の場合、季節性の影響を排除するためこのような措置を採りました(例えば、夏休みは動画再生数が増えている可能性がある)。なお、集計結果は動画あげ太朗さんの傾向と大きく変わりませんでした。

また、平均再生数は計算していません。平均再生数は「その年の動画再生数÷その年の動画投稿数」と計算したいところですが、このデータでの再生数とはこれまで投稿されたすべての年代の動画の再生数の合計であり、その年の動画投稿数で割るのはふさわしくないからです。この考えは動画あげ太朗さんのツイートを参考にさせていただきました。

(4) 半年動画数の推移
動画数は2016年をピークとし、若干下がり気味ではあるものの、各半年で50万ほどの動画がアップされており、ほぼ横ばいです。
 
図1 各年の半年の動画数の伸び

(5) 半年再生数の推移
 再生数も2016年をピークとし、その後はほぼ一貫して下がっています。ここから分かることは下がり傾向が近年続いていることであり、その中でも2020年から2021年、2021年から2022年は特に下がっています。2022年の上期の再生数は約225万ですが、これはピークである2016年の約661万と比べほぼ3分の1、コロナ禍の影響がない2019年の約418万と比べても45%以上下がっています。

図2 各年の半年の再生数の伸び

2. なぜ再生数が下がっているのか
では、近年ニコニコの再生数はなぜ下がっているのでしょうか。いくつか仮説を立ててみます。

(1) ユーザー数減少説
ユーザー数、あるいはアクティブユーザー数が減っているために再生数が落ちているという説です。ニコニコのプレミアム会員数は減少傾向にあり、いかにももっともらしいです。しかし、下記のブログを見るとわかるように、プレミアム会員数も下げ止まりの傾向にありますし、アクティブユーザー数は案外落ちていません。この説は正しくなさそうです。

https://theoria.hatenablog.com/entry/2021/05/13/034502

(2) @ジャンプ無効説
ニコニコの「@ジャンプ」と呼ばれる機能が無効になってから、再生数が落ちたとする説です。2018年を境に差が出ているはずですが、2018年と2019年の再生数に大きな差はありません。また、2019年以降も継続的に動画再生数が下がり続けていることは説明できません。この説も正しくなさそうです。

http://blog.nicovideo.jp/niconews/90608.html

(3) 他娯楽移行説
ニコニコには娯楽面でいくつものライバルが存在し、他の娯楽に流れてしまっているとする説です。典型的にはYouTubeですが、他にも動画だけでもインスタグラムやTikTokなどもそうです。また、コロナ禍の巣ごもり需要を考慮すればswitchのようなゲーム機に流れる可能性もあります。この中で脅威なのはゲーム機でしょう。ゲームは動画とは別のジャンルであり、脅威だとしても対策の採りようがないからです。

この仮説は簡単には否定しづらいです。2019年以前は他の動画サイトに徐々に押されていたと考えられますし、2020年以降はゲーム機に動画の視聴時間を奪われていると考えれば、つじつまは合いそうです。下記サイトでゲーム機の売り上げを確認できますが、コロナ禍ではswitchの売り上げがよく伸びています。

https://teitengame.com/hard.html

(4) コンテンツ劣化説
最後はニコニコのコンテンツが何らかの要因で劣化しており、リピートを含め再生回数が低下しているという説です。動画の投稿数自体は維持されているのですが、個々のコンテンツの質は低下しており、動画の再生数やリピート数が落ちているとの説です。

ニコニコのコンテンツが劣化する要因について、一つ心配なのが投稿者の投稿間隔の短縮による動画品質の劣化です。近年、動画の投稿者向けの講座動画が盛んに作られるようになっており、ニコニコにおいては高頻度投稿をすることにより、検索の上位に常時食い込むようにし、フォロワー数を増やすことが定石となってきています。そのため、全体として投稿者の投稿頻度は高まる傾向にあると思われますが、編集時間を短くするのは容易でなく、編集量を減らして簡素な動画にしたり、動画時間を短くしたりすることでそれを実現する場合が多そうです。

この説を裏付けるデータは採っていませんが、最近は10秒動画祭が行われるなど、短めの動画が流行っているのは確かです。第二回10秒動画祭は今年の4月に行われ、ニコニコ運営による支援もあり、盛況でした。

3. 考察
1.のデータから次の2点が言えます。1点目は、動画数がほぼ横ばいで、コンテンツの数は減っていないのにもかかわらず、再生数は減っているということです。そして2点目は、この傾向は2020年から2022年まで特に顕著であるものの、それ以前の傾向も同じだということです。

2.の仮説はいずれも決定打にかけますが、(3)他娯楽移行説、(4)コンテンツ劣化説は否定しきれませんでした。特に2020年以降、コロナ禍でも再生数が伸びていないので、(3)のように何らかの外部要因があると考えたくなります。コンテンツ劣化説は数字で証明するのが難しいですね。ただ、(1)で触れたようにアクティブユーザーがあまり減っていないのに再生数が落ちているので、(4)のようにニコニコ内部にも要因があるようにも見られます。外部要因、内部要因・・・、どっちだ?!どっちもか?

以上です。皆さんはどう思われますか?結局はっきりしたことは分かりませんでしたが、ニコニコのことを考える良い機会になっていればありがたいです。