msgblog’s diary

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本を紹介します『生物はなぜ死ぬのか』

今週のお題「最近おもしろかった本」

皆さん、突然ですが「生命はなぜ死ぬのか」を考えたことはありますか?私自身、今でこそ死というものを何となくですが受け入れられていますが、子供の頃は気になって眠れなくなったこともありました。皆さんも気になると思いますが、私はそれに答えてくれる本を見つけました!今日はその本について、気づきを取り上げてみます。

1. どんな本なの?
この記事では下記の本を取り上げます。

小林武彦 生物はなぜ死ぬのか 講談社 2021

本書はなぜ生物は誕生したのかに始まり、生物はどのように死ぬのか、そしてなぜ死ぬのかに迫るという作品です。

2. なぜこの本を選んだの?
生物の成り立ちに元々興味を持っていたので、この本を手に取りました。何よりもタイトルが気になりました。普段、私たちは生命の死について当然なものだと思い、あまり疑問に持ちません。私自身も子供の頃は死というものに漠然とした恐怖を感じていたことがありますが、最近はさすがに受け入れることができています。しかし、生物学者は疑問に持ちます。なぜかというと、実際に死なない生物がいるから。その生物は大腸菌などの細菌です。彼らは細胞分裂することで繁殖しますが、分裂した2つの細胞は元のままで老化していません。もちろん、栄養不足では死んでしまいますが、彼らには寿命がありません。言ってみれば、彼らは40億歳(38億歳とも?)。つまり誕生以来、ずっと生き続けているのです!

3. どこが気になったの?
ここから本書の気になったところを3点ほど書きます。なお、以下は内容のネタバレを含みますので、ご注意ください。

(1) 他に知的生命体が存在する確率はどれくらいか?
まず、興味深かったのが宇宙に知的生命体がいる可能性が驚くほど低いということでした。ドレイクという天文学者が地球人類とコンタクト可能な地球外文明を持つ惑星の数を試算していますが、その値は決して大きな数字ではないようです。しかも、ドレイクは文明の持続期間を長めに見積もっているとの意見もあり、短めに設定してしまうと私たちが将来宇宙人と出会える可能性はほとんどないということになります。

ここから分かるのは、私たちのような知的生命体は宇宙ではめちゃくちゃ貴重だということです。まず、生命が生存可能な惑星が少なく、そこから知的生命体が現れる可能性も、さらに通信が行えるまでに文明を発達させる可能性も少ない。知的生命体とまではいかなくても、原始的な生物が生きている惑星ならまだ数が増えますが、それすら私たちが見つけるのは簡単なことではなさそうです。

(2) ハダカデバネズミの寿命
本書でもう一つ驚いたことがハダカデバネズミという寿命が長い動物の存在です。普通のネズミの寿命は2~3年なのですが、ハダカデバネズミはなんと30年も生きるそうです!

ハダカデバネズミがこれほどまでに長く生き延びる理由は3つほどあります。1点目は天敵がほぼいないこと。ハダカデバネズミは地中に穴を掘って住処としている動物ですが、天敵に襲われることはほとんどなく、天寿を全うできるそうです。2点目は省エネ体質であること。彼らは地中に集団で暮らしていて、消費する酸素は少ないです。また、体温が低く、食事量も少なくて済みます。3点目として、エネルギーを生み出すときに生じる活性酸素が少ないこと。活性酸素は体内を酸化させる老化促進物質ですが、その発生量が少ないため、ハダカデバネズミは老化しにくいのです。

(3) 生物はなぜ死ぬのか
さて、肝腎な「なぜ生物は死ぬのか」の答えですが、一言で言うと「進化の過程で必要だったから」です。詳細について説明すると、上にも書いた通り、生物は元々寿命がありませんでした。しかし、周りの環境が目まぐるしく変化する中で生物も進化し、素早く適応できた者が勝ち残っていきました。この進化の過程で、性という仕組みを持つ生物が現れました。性という仕組みは遺伝子の組み換えを容易に起こし、子孫が多様化し、進化を加速するのに役立ちます。これは、遺伝子の組み換えが起こっていない親世代に比べ、遺伝子の組み換えが起こった子供世代の方が優秀ということを意味します。しかし、その状況で親世代がいつまでも生き残るのは進化の妨げとなり、逆に不利となります。そこで、更なる進化として生物は寿命を持つことにしました。これにより、子供世代よりも親世代の方が早く死に、遺伝子の多様化が順調に進むのです。

要するに、逆説的ですが種が生き延びるためには寿命を持つ方が、親が死ぬ方が有利というわけです。これは何とも衝撃的ですね。

全く余談ですが、日本では老害という言葉があります。組織などの改革に抵抗する高齢者を指す言葉ですが、日本という国家や会社組織などの成長のためには、生物と同様、若い代への世代交代が大切なのかも・・・、と思ってしまいました。

4. まとめ
私たちは地球に生まれた貴重な知的生命体です。生物は一部を除き、寿命を持っています。進化の過程において、生物の死は生き残るために必要でした。

いかがでしたでしょうか。生物について、本書についてちょっとでも興味を持ってもらえたでしょうか。最後までお読みいただきありがとうございました!

Gerd AltmannによるPixabayからの画像